2017年1月14日土曜日

【書評】0311再起動【堀江貴文】

【0311再起動 君たちに東日本大震災後の世界を託す】
作者:堀江貴文



(今回は真面目な内容です)



東日本大震災とその後の復興について


この本のおおまかなテーマはこれである。東日本大震災発生当時の状況、その経過、そしてその後の日本が目指すべきことについて述べている。


東日本大震災発生が2011年3月11日。そして堀江貴文氏の実刑が確定したのが4月26日
2013年3月27日に釈放されるまでの間、ある意味で堀江貴文氏は表舞台に登場しなかったことになる。とはいえ、メルマガやなどのネットサービスは続いてましたがね。そしてこの本も……いやはや、恐ろしい男です………。

そいでは目次と合わせておおまかな内容をドゾー




1.震災発生当時の状況:Twitter


震災発生時の状況をTwitterを通して書き連ねている。当時堀江貴文氏はTwitterによってコトの重大さに気づき、そしてTwitterを使いフォロワーの安否確認に尽力した。つまり、安否確認のツイートをリツイートし、"なるべく"正しい情報を取捨選択し共有したのだ。だってフォロワー多いし。そういう有名人はけっこういたよね。思えば当時は情報が錯綜し混乱もみられた。そして次章に続く。


2.震災発生当時の状況:情報化社会というものの再確認


堀江貴文氏は安否確認ツールであるGoogle Person Finder、正しい原発情報を知るための大前研一氏のYoutube動画、そして義援金受付窓口としてJustGiving Japanを紹介した。Twitterでは安否確認ツイートで溢れかえり、原発情報はデマが氾濫し、義援金受付窓口は乱立していたからだ
更に、Google Mapsと被災地の交通状況を同期するサイトも生まれた。
つまり、インターネットが幾人もの人を救ったことにある。デマなどの問題もあったが………


3.震災鬱・東北独立特区


震災鬱 : 当時、津波の映像や被災地のあまりにも悲惨な現状、そして錯綜する情報、原発問題、無能首相に疲れ果ててしまったことを覚えている。これを震災鬱と呼ぶらしい。そしてそれらは体現化し自粛ムードを生み出した。ムードと言ってはいるがそれははっきりと表面化していた。経済的に考えれば自粛にはなんの意味もないことくらいはわかるものだが、あの当時に美味しいものを食べに行こう、高いものを買いに行こうなどとは到底思えなかった。誰もが、何かが終わってしまったと思ったのだ。堀江貴文氏も同様に異様な当時を振り返っている。

東北独立特区 : 復興後の東北を想い描いた妄想である。収監された堀江貴文氏にとっては"釈放後の東北"ということになる。というかなんというか、小説である
曰く、東北は国防・外交以外すべて地方分権、つまり国家になっている。選挙はネットによる直接民主制で、社会保障ベーシックインカムだけ・・・といういかにも堀江貴文氏が好きそうな話。2017年現在も同氏はベーシックインカムを推してるだけのことはある。個人主義の、地方分権による、国家の集合体。連邦である。この特殊な島国に限ってはそうなったら面白いかもなぁと思う。ちなみに、同氏はこの妄想について異議も同調も良しとしている。


4.東北から日本のこれからを考える


唐突に菅直人総理を糾弾する。彼は同年5月に浜岡原子力発電所を発表したのだ
国民は福島を思い感情的にはそれを受け入れたが、中部地方に多い機械工業生産拠点はどうなってしまうだろうか?トヨタは生産拠点を海外に移転せざるを得ないと言い出した。実際にそうなれば日本の経済的損失は計り知れない。当然である、あのトヨタである。
更に、原発問題に喘ぐうちに原発エンジニアが海外に引き抜かれてしまう懸念もある。どっかで聞いたな、確か日本より待遇のいい韓国、中国企業に技術を売るとか……
日本の原発エンジニアのレベルは世界トップである。だが彼らは感情的になった国民に叩かれ罵られた。
結果論で言えば菅直人総理の決断はクソである。正しくなかった。国民の意志に沿うあまり現実的に物事を決められなかったのだ。
………津波はあまりに多くのものを攫っていったが、悲観していても何も生まれはしない。マイナスをゼロに戻す以上、必ずプラスに転じる可能性はあるのだ。震災によってインターネットの可能性、そして集合知の力を再確認した人は多いはずだ。同氏はいくつかの事例とともに情報化社会に沿う新たな可能性を明示している。


5.国家とその在るべき姿


震災当時、日本政府に何が出来ただろうか?いや、何をしただろうか。
震災、津波、原発というもはや国家レベル程度では処理できない自体の前に、政府は無力と化した。実際に行動した人々の正しい行動によってのみ人々は救われたのだ。(同様に現場で活動にあたった方々に敬意を表します)
ここで堀江貴文氏が問うのは「国家」。あまりの加速度で情報化していった社会にとって日本政府はどう存在意義を見出すのか。現に今でも情報漏えい、ハッキング、クラッキングの練習台みたいなもんやし………
東北独立特区でも述べていた通り、不相変ベーシックインカムを推す同氏である。何故なら、過保護なこの国で保護が行き渡らない以上ベーシックインカムの個人主義に根ざす思考が噛むからである。
要は震災を通して国家の問題を指摘している今時、子供でもすらすら出てきそうなもんだけどね………


特別対談:瀬戸内寂聴×堀江貴文


瀬戸内寂聴とは、最近(2017年)生き飽きたと言っておきながら普通に手術して生きながらえた人であるいや、すみません……
お二人は大まかにライブドア事件、死生観、宗教、お互いのことを話します。東大宗教学出身の堀江貴文氏と天台寺住職の瀬戸内寂聴の対談ですから、それはもう……濃い。めちゃくちゃ愉快です。現実的に、論理的に、宗教的に、人間的にお話されてます。


個人的な感想


僕がこの本を読んだのは2016年、つまり震災から5年後です。どうも飽きっぽい我ら日本人はもう福島のことを失念しているようです。いや、問題に蓋をしてしまおうとしているのか……。
現に僕もようやく思い出したといった感じです。当然でしょう、みんな自分の目前に迫った問題に必死ですから。誰かに問題を押し付けて処理してもらいたいものです。
震災が齎したのは多すぎる死と表面化です。表面化したのは問題と可能性です。原発や国家問題、そしてインターネットやメディアの可能性。不幸を謳いたがる日本族ですが、そう思ってもいいはずです。いや、思うべきだ。今から再確認し再起動するのも遅くはないだろう。
ここまで真面目

ここから不真面目
一気読みすると、堀江貴文氏が「こうしたらいいんじゃね?こういうのあるよ」って提示しまくる本だなと思ってしまう。彼の本は割りとそういう傾向が強いんだけど、この本は少し異質。
というのも、取り扱うテーマがテーマだけに言葉を慎重に選んでるようなのだ。瀬戸内寂聴との対談もあって"堀江貴文の本"として楽しむこともできる。あの拝金詐欺野郎!と思ってる人にも読んでほしい。合わせて「収監」とかも読んでほしいな。マスメディアの皮を剥いで観る彼もそう悪くはないしね。
僕は当時Twitterをしてなかったのでこの本でいろんなことを知った。Twitterを始めとしたSNS、ネットサービスがどれだけ活躍していたか。菅直人総理がどれだけ……その……アレだったか。表面化、顕在化した問題はなんだったか。そしてそれは今どうなっているだろうか?
数年が経った今、それぞれの立場で、それぞれの当時を思い出しながら読んでほしい一冊です。ようし、決まったな!

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