2021年9月7日火曜日

自分の短編を自分で解説する試み

 桜高軽音部の皆さんこんばんは、ともはるという偽名で活動しているおじさんです。


先日自身初の短編を書き、トゥイッター(ネイティブ)のフォロワー1人に絶賛されるという号泣不可避の大躍進を遂げたクソじじいこと僕ですが、この短編に散りばめられたなんかがテメーらにちゃんと伝わってるか不安で飲酒と喫煙が止まらない事態に陥ったので今回はタイトル通りクッソ恥ずかしい試みを実行します。未読の方は是非読んでみてください。矛盾していますがそれと同じくらい読まないで欲しいです。どっちなんだ。そんなものでしょ?はずかち~の!では始めていきましょう。



・はっきり言ってジョーカーに影響を受けましたか?

 受けました。仕方がないだろう。タクシードライバーも観たし岡田斗司夫のYoutube動画も観た。ざまあみろ。大体インスピレーションはいつだってインスパイアなんだ。作品に感化されずに創作するものがいるか。たわけ!


・テーマは何か?

 犯罪心理と社会です。今まで体験してきた映画や本、音楽で受けた影響を出し切った結果何故かそうなりました。母子を描写したのは筆者が母の愛さえなければ何度でも死のうとしていたからです。別に殺人に興味はないですが自殺には興味があったので試みはしましたが母が悲しんだら死ぬほど嫌なのでそれだけが結局自分にとって生きがいだったことになります。それを可能な限り描写したつもりです。


・なぜ女性を殺させたのか?

ハウスジャックビルトという映画で女性、女性性に対する強烈なコンプレックス(本来の意味)や犯罪心理が結構克明に描写されていたので、自分なりにこれを描けないか?と模索していたわけです。その中でいくつかの資料に内臓、特に子宮に対しての理解しがたい、表現されがたい何かしらの神秘を感じたので、ただ殺しただけでなくそうした理由について異常なりに因果関係を与えたかったのです。大量に出血したことがある人ならば自分の血の暖かさに驚いたことがあるでしょうが、まさにそれと人の暖かさを勘違いしてもらいたかったのです。人から与えられた暖かさがそれしかなかったなら、まあしょうがないんじゃないですかねえ。


・正装するあたりジョーカーに影響されすぎでは?

これは筆者が生きる意味を自身の内に見出すきっかけになった小説"何もかも憂鬱な夜に"で描写されていた影響が大きいです。コロナ禍で失うもののない無敵の人が暴走する事件が増えていたのでこれはいい機会だと思い、法律という壁をブレイクスルーした時世界はこうも煌めきだすのだという最悪な心理を描きました。欲望がままに動き追手が来るまでは完全なる自由。筆者にさえあるわずかばりの狂気をここに凝縮しました。それはまさに晴れ舞台と称するのに相応しいのではないでしょうか。死なばもろともって言葉を悪いほうに使うとこうなります。あんまり明るいほうでない筆者は時々そんな悪いことを考えてしまうのです。ほんとうはおまえらもそうなんだろ?


・中盤の独白は何?

 精神分析学という分野で割と最近は研究されている分野をなるべくコミカルに一人称という形で利用しました。トラウマとか耐え難い苦痛を覚えた時、人はそれを他人事のように切り捨て、忘れてしまうのです。しかしそれは脳内での出来事。きっかけ次第でまた現れてしまいます。一人称毎に意味を、意義を与えたのはそれらがまさしく人格だからであり、最初で最後の演説の場で集結していただいたのです。

 少し筆者の話をするとすれば、私は幼年期大変な偏食家、小食で、食卓では毎日毎日いつもいつでも親父のそれに対する嫌味を聞いて育ちました。それとサイコパス、犯罪心理における異常とわかっていても、わからないでいてもそれをどうすることもできない、できなかった苦しみを描きたかったのです。持って生まれたものがもし社会に生きていくうえで障害になるようなものだったら?成長の過程で得たものがもし他者から否定され、侮蔑されるものだったら?そしてそれを自分自身ではどうにも出来ないものだとしたら?そんな恐怖は誰にでもあるべきものだと思うのです。ここらへんはラブクラフトのクトゥルフによる影響かも。


・執刀医の描写、いる?

 いる。影が光によってのみ生まれ認識されるように、物事を描写するうえで対比することほど簡単なものはありません。右に対しての左、異常に対しての正常、生に対する死。実は逆の概念がなければ存在しえない概念というのは意外に多いのです。

 医者は金と才能がなければなれません。そういう意味では神聖です。狂人でありながら社会に受け入れられた者とそうでない者の些細な違いを描写したつもりです。だからこの描写は必要なんです。ちなみにこれはダークソウルの影響な!そんなんばっかか?俺。


・最後のほうの親子の会話は何?

 母子家庭です。父親はいらない。子供を産む苦しみを知らないから。

 母親は極めて常識的な言葉で彼に恐怖します。それは普通誰でも思うことです。人を殺したんですからね。少年の心情を描写しなかったのは、母の言葉とニュースに対して何も思わなかったと思ってほしかったのと、勝手に考えてほしかったからです。

 誰も話を聞いてあげなかったっていう部分は銃乱射事件に対してコメントを求められたマリリンマンソンの一言が元ネタです。そうだな、と思ったので。そうしてあげたり、そうしてもらってる親子の描写は絶対に必要でした。それは彼にも必要でした。それだけでよかったのに。


 ・変な絵を渡す部分、意味わからん

 わかりやすいサイコパス診断の一つに、見えない部分を描写するというものがあります。人を描いてと言ったらレントゲン写真のような絵を描いてしまうとか、黒いもやもやした何かを描いてしまうとか。これを以ってして少年が将来彼のようになる可能性を描写しました。しかしそうならないと思われるのは前述したとおり母とその愛によるもので、それさえあれば恐らくはきっと問題なく生きていけるのです。そう信じているのでそう描写しました。本音で話せる相手なんて一人いればいいんだよ。いなかったら本当に悲しいけど。





いかがでしたでしょうか(クソNaverまとめ)。イラスト以外で何かを創作したことがなかったので本当に稚拙なものになってしまったかと思いますがだったらテメーらこれを超える文章を書いてみろこの野郎。よく見たらそんなに悪くなかったわ。ちょっとくさい、におう部分はあったけどな!

あと、初めて書いた文章がこれだとすると、きっとイラストでは大変理想的なものを描く割りに、文章では極めて薄暗い自らの内の闇を描くことがわかったのでネガティブな感情その全てが臨界点を突破したらまた書きます。感想はください。約束ね。僕からは以上!

2021年9月5日日曜日

添削もせず、一瞬で短編を書く

 今日は私の晴れ舞台だ。この日のために見繕ったスーツを着て私は家を出た。とっくに日の落ちた道の、街灯の少ない場所を何度か往復していると、若い女性が携帯を操作しながら歩いてくるのが見えた。私はどくどくと唸る心臓を意識しながら、包丁を握りしめ、力いっぱい女を突き飛ばした。女は何か叫んだようであったが、私は気にも留めず、薄暗い中で肌色に見える部分を包丁で突き刺した。返り血は嘘のように暖かく、それは、生涯私に与えられることのなかった温もりのように感じられた。いつしか血しぶきは止み、そこには着飾り、化粧を施した、女の死体が冷たく横たわっていた。私は、幼少期に虫をいじめて遊んでいたら死んでしまった時のような虚無感を覚え、虚無感を振り払うために、裂けた女の下腹部へ手を入れた。まだ少し暖かい内臓の、恐らくは腸の少し奥に触れた時、私は初めて母なる慈愛を感じ取った。この時、私は初めて心の底から笑った。




これらは事実ですか。


はい。


何回目ですか。


一回目です。


なぜ、殺したのですか。


温もりを知りたかったからです。


この女性を知っていますか。


知りません。


何か言っておきたいことはありますか。


はい。どうか、どうか、聞いてください。

どうか、どうか、静かに、聴いてください。今まで、この時まで、ただの一度も私の話を聞いてくださる方はいませんでした。母も、クラスメイトも、同僚も、誰だって私の話を聞こうとはしませんでした。それどころか、私を気味が悪い、気持ち悪いと言って除け者にするか、無視するか……あるいは、石を投げつけてくるばかりでした。誰も私の話を聞こうとはしませんでした。誰も私と話したりはしませんでした。誰も私を認めてはくれませんでした。誰も私を愛してはくれませんでした。

虫の脚を、翅を千切るのが好きでした。僕の力で、僕よりも弱いものが苦しむ様が少し愉快だったのです。それ以外、到底楽しいことなどありはしませんでした。次第に動物相手にも、そうするようになりました。家の近所の山で虫や動物を見つけては、傷みつけて、ほんの少しだけ面白いと思う、ただそれだけでした。それ以外何一つ楽しいことはありませんでした。その時僕は、彼ら、彼女らの内側にも興味を抱くようになりました。僕を虐げる人達の皮膚を裂いたら、きっと鮮血が飛び、内臓が露わになり、ああ、誰もが苦悶の声を上げるのだろうか。それなら、虫も動物も人間も、僕も、誰も何も変わりはしない。どれだけ装ったって、繕ったって、内側はグロテスクな赤色や黒色ばかりなのだろう、と。大人になったら、きっとそれをこの目で確かめてやろうと、それだけを思って生きてきました。死ぬこと以外で考えていたのはそれだけでした。

結局……。結局手前らは、俺が女をバラしてやらなきゃ、俺の、俺の話なんか聞きはしない。きちがいだ、気持ち悪い、不気味だと言って遠ざけて、蹴って、殴って、それだけだ。母親でさえ俺を捨ててどこかへ行きやがった。こんな風に生まれたいだなんて思って生まれたわけじゃない、こんな風になりたいだなんて思ってこんな風になったわけじゃない。なのにみんな俺を無視しやがる。俺に優しかったのはあの女の鮮血だけだ、内臓だけだ!血に、内臓に触れることでしか快感を得られないなら俺はどうすればいい!そんな風に生まれたのか、そんな風になってしまったのは知らない、そうする以外どうしようもない俺はどうすればいい!きちがいは、異常者は、どうやって生きていけばいいんだ!社会なんざ、正常な人間の正常な人間による正常な人間のためのものなんだろう!ならこんな俺はどうすればいいんだ!



確かに受け取りました。私の知人の話をしましょう。私の知人は、今思えば、きっと、生まれ持った異常者でした。先天性の……肌色に覆われたその内側が見たくて見たくてたまらないと言っていました。彼は今、執刀医として非常に優秀な人材の一人です。友人は少ないですが、その技量は買われています。

他に何か、言いたいことはありますか。満足しましたか。



はい。





本当に、物騒なニュースばかりね。


母がそう呟いた。テレビはある殺人犯の手記を特集しているようだった。


女の人を殺す以外、楽しいことがないなんて、恐ろしいわ。


お母さん。それしか楽しいことがないなら、この人はどうすればいいの?この人は、どうすれば救われるの?


それは……。


話を聞いてあげるのよ。きっと、誰も彼の話を聞いてあげなかったのよ。あなたも、学校で何があったとか、サッカーの試合がどうだったとか、私に話してくれるでしょう?


うん。


そうしたら、それだけでけっこう、嬉しかったり、満足したりするのよ。私だって、あなたに自治会でのこととか、聞いてもらってるしね。


そうだね。


僕は、学校の授業で描いた家族の絵を手渡した。それは頭に脳を、身体に内臓を描いたものだった。母は、笑っていた。