2017年6月15日木曜日

【書評】不道徳教育講座【三島由紀夫】

【不道徳教育講座】1959年3月16日(前編)
         1960年2月5日(続編)
【作者:三島由紀夫】

(ウイスキー飲みすぎてめちゃくちゃな記事になってたので2日後くらいにしっかりとした形に編集しました)

憂国、仮面の告白、潮騒などの純文学からは想像も出来ないほど愉快痛快なエッセイ集。不道徳と称しながらもどこか本質を見定め社会を風刺するその筆致はこの僕事無職を始め今なお多くの著名人(要出典)に評価されています。めっちゃ簡単に言うと今なお読んでもおもしれぇエッセイ集です。しかも自衛隊駐屯地で自殺した人の。もともとは雑誌で掲載されてたエッセイを纏めたもんですね。


三島由紀夫っちと言えば、けっこうお硬い印象があるかと思います。日本純文学の境地である『憂国』。日本人の日本人による日本人のための『金閣寺』。そして太宰治を嫌う彼を知ってしまえばその根底には"日本男児"の"真髄"があったように思えてしまう。けれど、この作品に観られる彼はユーモアに溢れたある種フランクな三島ゆっきーでした……。まぁこれの三年後に自決するんすけど。


そいでは70に渡る三島由紀夫のおかしな教えから個人的に好きなのを3つ紹介しませう。


若者に告ぐ!教師を内心馬鹿にすべし!

戦後数年の日本教師は"絶対"の存在でした。そんな時代にこんなタイトルですから「何言ってんだこの武士!?」と思ってしまう。教師を尊敬すべし!ではなく内心馬鹿にすべし。刺激的なタイトルで引きつけてその理由を三島ゆっきーは淡々と軽快に教えてくれます。上辺では教師に媚びへつらうがいい。けれど生徒が将来戦う大人は教師ほど甘くはない。蹴落としあう運命ですからね。しかも教師なんか薄給で生徒と生徒の親、そして学校側から板挟み。内心は馬鹿にしつつ、教師の授業だけは真面目に聞いて知識だけ吸い取ってやれ!ということですな。そして野心を持ち教師の給料を超えてやるのです!


童貞は一刻も早く捨てよ!

もの凄く噛み砕いていうと、童貞なんか取っておいても意味ないよ!女が擦り寄ってきたらかまわずやっちまえよ!なぜならば……!という教え。30歳童貞とかになるともうどうしようもなかったりするじゃないですか。もう女性がなんなのかわけがわからないしだんだん遠い世界の存在のように思えてくる。そうして無理解は無茶な理想に変わってしまい手遅れ……と。この事実はいつの時代も変わらんみたいですね。


告白するなかれ!

自分の本当の姿、本当の気持ちを何もかもさらけ出して誰かに愛して貰おうなど、笑止千万!そんなものは甘え、あるいは弱さにすぎない。人間の核心はいつも不気味で淀んだものです。老若男女問わずね。それを見せるのはある種暴力的なもんです。思春期には淀み大人へと変貌していく内面に当惑しそれをさらけ出せないことに苦悩するものですが、やっぱり確りとした大人はこれを覆い隠し美しく着飾り装う。素直が一番?うるへー!





さてさて、この時点でけっこう面白い不道徳教育講座ですが、この講座はあと67もあります。随分昔に書かれたのになんでこんなにおもしろいのか……三島ゆっきーの持つ多角的視点の成せる技でしょうね。読み始めたら止まりません。

ここからは今回初登場した三島由紀夫に触れつつエンディングです。


三島由紀夫と不道徳教育講座

三島由紀夫は数々の名作を、小説、エッセイ、戯曲、映画で世に送り出してきました。そして三島事件による自決などなど、今なお語り継がれる男なのです。んで、そんな彼を紐解くに値する本が……えーと、これ。話らしい話のある小説には作者のしょうもない部分はあまり見えないものです。けれど、本書には居酒屋で彼がウヰスキー片手に語ってくれるような、面白おかしい"教え"があるのです。小説として伝えるほどでもないが、酒の席で語るような……え、僕無職なのに言葉選び下手すぎ……?わかって(語彙0)。冗談めいてるけどどこか本質的なメッセージ。うんこれがいい。


無職のあとがき

三島由紀夫が好きです。三島由紀夫がすげぇ好きです。彼の思想そのものを崇拝するわけじゃないけど、彼の生涯、作品、そしてその最後に至るまでの生き様は狂気的なまでのナルシシズムとエゴイズムを苗床に成り立っています。「憂国とかを書いた文豪」「駐屯地で割腹自殺した国粋主義者」「美輪明宏さんの友達」「石原慎太郎の旧友」これが僕のかつて彼に抱いていた印象でしたが、これを読んで随分印象が変わりました。最近映画にもなった「美しい星」というSF作品があるんですが、これを読んでもやっぱりこの人は天才だと思ってしまいます。まるで三島由紀夫って集団がいるんじゃないかと思うくらい人間としての幅が広い。天才って意味では彼自身自覚もあったらしいしね。もうコレ以上は駄文書き連ねちゃうしこのへんで僕からは以上!

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