【動物農場】1945年8月17日刊行
【作者:ジョージ・オーウェル】
1984年などで知られるジョージ・オーウェルの寓話作品。動物たちのお話です。
あらすじ
人間達に飼われていた家畜動物達が人間を追放し、動物たちによる平等で理想的な社会を目指す。しかし指導者の豚たちは権力を恣にし、動物たちは人間に飼われていたときよりも劣悪な生活を余儀なくされてしまう。
………このあらすじを読んだだけでロシア革命や社会主義国が頭に浮かんだあなた!意識が高い。というのも、この作品はロシア帝国、大英帝国、ナチス・ドイツのみならずその指導者を動物や人間に置き換えた寓話作品。ロシア革命を風刺し、社会主義的ファシズムを痛撃しています。
実はあらすじらしいあらすじはこんなとこで終わりです。1984年と比べて読みやすいしページ数もそんなにないですからね。せっかくなので動物農場の愉快な仲間たちを紹介しましょう!
動物農場の愉快な仲間たち
ナポレオン
雄豚。演説は苦手だが政治的根回しに長け、狡猾。後に独裁者と化す。モデルはソビエト連邦第2代最高指導者:ヨシフ・スターリン。
スノーボール
雄豚。一時は主導権を握り、風車建設計画や農場電化計画を推進するが、ナポレオンによって追放され、反逆者とされる。ナポレオンの政策の失敗は、スノーボールによる破壊工作によるものとされ、ナポレオンによる統治に反抗する者は、スノーボールの一派であるとの自白を強要されるなど、まさに雪だるまのように諸悪の根源としての虚像が膨れ上がる。モデルはソビエト連邦マルクス主義思想家、レフ・トロツキー。
メージャー爺さん
雄豚。全ての動物の平等と自由を謳った「動物主義」を唱えるが、革命直前に病死。モデルはロシア革命を指導しソビエト連邦初代指導者となったウラジーミル・レーニン。
スクィーラー
雄豚。雄弁家で、相手を丸め込むのに長けている。ナポレオンの腰巾着。モデルはヨシフ・スターリンの片腕ことヴャチェスラフ・モロトフ。
ボクサー
雄馬。働き者で力持ち。他の動物たちから尊敬されていて、ナポレオンも一目置く。常に「I will work harder.(わしがもっと働けばいいのだ!)」と言い続けてひたすら真面目に働く律儀者。しかし、高齢と重労働のため体力が落ち、脚を怪我したことで馬肉業者に売られてしまった。モデルはミハイル・トゥハチェフスキーを初めとする赤軍将校。また、アレクセイ・スタハノフに代表される「労働英雄」であるとする見解もある。
ベンジャミン
雄ロバ。農場きってのインテリ。ボクサーと並ぶ労働率先者。ボクサーとは彼の生涯を通して親友であった。豚を除く動物達の中でもいかにこの豚達による理不尽が異常かを頭の良さ故かとりわけ理解しているが、これをどうにかしようとはしない消極者。ボクサーがボロ雑巾のように使い捨てられ命まで売られたことには流石に応えたが、それでも動こうとはしなかった。モデルは不明だが、ボクサーともども赤軍将校や労働英雄と見るべきか。
モーゼス
カラス。まだ家畜たちが蜂起する前の農場にて、御馳走が食べ放題の天国の存在など沢山のユートピア神話・都市伝説を吹聴し、困窮する家畜たちに希望を与える半面、現状打破の意欲も削いでいたため、スノーボールやナポレオンらから疎まれ続けていた。モデルはロシア正教会とその神父たち。
9匹の犬
ナポレオンが密かに育てた犬の一群であり、ナポレオンに忠実な存在。敵対した動物を粛清する。後に子供もできたことで数が増える。モデルはチェーカーやGPU、その関連機関。ヒツジたちナポレオンに反対する動物や、都合の悪い発言が出た時に、議論の脈絡に関係なくある特定のスローガンを連呼(シュプレヒコール)して妨害する。モデルは共産党青年団コムソモール。
ダンテの見た地獄より地獄的ですね。僕は前知識無しで読んだんですが、こいつもしかしてあいつじゃねぇか?とか、この出来事ってもしかしてあの暴動じゃねぇか?などなど、推理しながら読めました。それも面白いですが、やはり前知識としてロシアないしソビエト連邦を取り巻く環境共々知っておくとよりわかりやすいかと思います。
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